Blog(1) 心理学:芸術と感性の心理学

2025.10.09

「心理学者です。」と自己紹介すると、「私の心の中分かるの?!」と聞かれるのは心理学者あるあるです(笑)
「なんか見透かされてるようで怖い!」こちらもよく聞きます。
ですが皆さん、安心してください。簡単にヒトの心が読めたら、心理学者は必要ないんです。なので、他人の考えをお見通しなんてことは全くありませんが、ヒトが何を考え、どう行動するかについてはとてつもなく興味があります。ヒトに好奇心を持つことが、心理学者たちの仕事の第一歩となります。

心理学と一口にいっても、中にはいろんな心理学者たちがいます。
心の問題に実践的にアプローチするカウンセラー、コーチングのような職についている方は主に臨床系と大別されます。
対して、実験や考察を行い、ヒトや動物の営みについて理解を深める研究をする人たちは実験系、基礎系という風に呼ばれることが多いです。

さて、管理人の私はというと、基礎研究を行う心理学者です。上述の後者ですね。
そして私の専門は「芸術と感性の心理学」という、心理学の中でもかなりニッチな分野を専門としています(笑)
みなさんの疑問がよぉ~く聞こえてきますよ、、なんじゃそれ?!(ですよね~笑、分かります!!)

ということで、Blog第一弾では、自己紹介も兼ねて、私の専門である「芸術と感性の心理学」について、ほんのちょこっとご紹介しますね!
美術館で芸術作品を見たり、音楽を聴いたときに、みなさんはどんな経験をしますか?
抽象画のような、一見意味をなさない情報を目にすると、「これはなんだろう?」と考えはじめるかもしれません。
子どものころによく聴いていた音楽をしばらくたってから聴いてみると、昔の思い出が蘇り、とてつもない懐かしさに浸ることもありますよね。
あるいは絵画・音楽を前に、美しさのあまり圧倒され、鳥肌が立ち、気づかないうちに涙を流した経験がある方もいるかもしれません。

ここにあげたのはほんの少しの例ですが、上記のような体験・経験は感性経験(Aesthetic experience)と呼ばれます。そしてこの感性経験は、知覚された情報の処理、自分自身の記憶やアイデンティティの想起や形成、さまざまな種類と強度の評価と感情といった心理過程を経て、立ち上がってくることが知られています。

感性経験は芸術作品の枠を超え、日常生活の中でも頻繁に経験されるものです。新しくかった服の袖に腕を通したときのワクワクする気持ち、実家の料理を食べたときの懐かしさ、夏の空の高さや冬の痛いくらいに透き通った空気に季節を感じる瞬間。感性経験は日常生活の中に深く根ざしています。
私は屋内実験室、美術館、都市空間といった色んな場所で、ヒトを対象とした実験をして、感性経験の成り立ち、その心理的効果について研究を行っているわけですね。

私が所属しているウィーン大学の研究室は、世界で初めて、感性経験(特に絵画など視覚芸術の感性経験)研究に特化した研究室として知られています。この研究室に在籍してから早8年ほどたちますが、結論を一言でいうと「芸術を処理する心理過程が複雑すぎて全貌がよくわからん!!」です。
冗談はさておき、感性経験は本当に複雑なんです(笑)

そもそもヒトを科学する心理学は、個人差の大きいデータを扱うので、「これが正解」というような真理を解明するのがなかなか難しい学問です。
化学や物理学のように、客観的に測定できる対象があるわけではなく、主観を扱う学問なのでこれはまぁ当然といえば当然ですよね。
中でも感性経験というのは、特に個人差が大きいのです。たとえば美しい・かわいいと思う基準が十人十色違うように、何か一貫性を見つけることがまず難しいんですよね。

まだまだ謎の多い感性経験。では何が分かっていて、何が分かっていないのか?感性経験を研究することにどんな意味があるのか?

このBlogでは、(たまにになると思いますが笑)、これまでの感性経験研究をご紹介していければと思います。今回はこれまで、皆さん、Bis Bald!

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